さらば「論文検索Qross」

こんにちは、さいとう(白)です。私が開発に携わった「論文検索Qross」が、2018年6月をもってサービス提供を終了しました。ご利用いただいたみなさま、ありがとうございました。今回は論文検索Qrossのサービス開始から終了まで、その歴史を振り返ってみます。

はじまりは論文検索アプリ

論文検索Qrossは、2011年にリリースした「論文検索」というスマートフォン用アプリが前身です。このころアトラスでは、研究者個人に向けて何かサービスを提供できないか検討していました。おりしも日本ではスマートフォンが出始めて数年経過し、いわゆるアプリブームのころ。これを踏まえて、研究者個人に向けたスマートフォンアプリを開発しよう!というのがアプリ開発のきっかけです。

横断検索のアイデアは、ある研究者の先生から、「論文を探すときにあちこちのサイトにいって検索するのが面倒。特にPubMedとCiNiiを横断検索できたらとても嬉しい」という声をいただいたのを元にしています。この機能に加えて、検索した後の論文を管理・共有する機能を付加しました。

論文検索アプリは、アトラスで初めて個人ユーザを対象にした有料アプリでした。それまでは主に学協会様向けサービスを提供していたので、リリース後はユーザからの反応、特に「お金払ったけどその価値はない!」のように評価されないか、不安になりながらエゴサーチしまくった日々を覚えています。さいわい、多くのユーザ様から「便利なアプリ!」と好意的な感想をいただけました。
しかも、なんとAppStoreの辞書/辞典/その他部門(当時)で3週間程度に渡りランキング1位のアプリになりました。これはAppleがおすすめアプリとして紹介してくれたことに起因しています。

懐かしいインターフェイスですね。このときは社内で大歓声が起こりました。

そして論文検索Qrossへ

しばらくたって、機能を制限した無料版「論文検索Free」も提供しました。これまでの有料版を「論文検索Pro」と改名し、その当時よく聞かれた「フリーミアム」を意識した展開でしたね。

そして2013年には、アプリだけでなくWeb版への展開を図り「論文検索Qross」をリリースしました。アプリ版とWeb版を連携することで、アプリでの検索の手軽さはそのままに、検索後に大学図書館内のPCでWeb版を利用すれば、購読雑誌の論文全文も閲覧できる、という使い方を狙いました。また、スマホに比べてPCの大きい画面で、複数サイトでの検索結果を同時に表示できる画面インターフェースも工夫しました。
さらに、Altmetric.comのAPIを利用して、検索結果の論文ごとにスコアを取得して表示する機能を取り入れました。学術を一歩先へ進める新たな価値として、当時の学術トレンドを意識した機能です。おそらく日本で初めてaltmetricsを表示したアプリケーションだったと思っています(違ったらすみません…)。最近はJ-STAGEでもaltmetricsが表示されるようになったので、先駆者としては嬉しい限りです。

機能の詳細については以前のブログでも紹介していますので、ご興味のある方はご覧ください。

反響

リリースと同時に、カレントアウェアネスにとりあげていただきました。カレントアウェアネスでは、その後6回にわたり、バージョンアップのたびにご紹介いただきました。感謝申し上げます。

サービスリリースから2年後の2015年3月には、アプリ版が30,000ダウンロードを突破し、ユーザー登録が10,000アカウントを超えるなど、なかなかご好評をいただけたと思っています。

また、日本薬学図書館協議会様が発行する機関誌「薬学図書館」に論文検索Qrossのプロダクト・レビューを掲載いただきました。これは許可をいただき、弊社サイトで公開しています。自分たちで開発したサービスについて、このように経緯や背景などをまとめて外部に公開することはなかったので、よい機会をいただけました。

ビジネス面

当初有料アプリとしてリリースしていましたが、Qrossへ展開した段階で無料版と有料版を分けることがかえって管理コストの面で負担になり、以降は利用料を無料に統一しています。
今回サービス終了にいたったのは、先日サービス終了した日本語論文 to Mendeleyと同じく、保守運用コストとの兼ね合いです。

終了にあたり

日本語論文 to Mendeleyを終了したばかりなので「アトラス大丈夫?」と心配される方もいるかもしれませんが(笑)、その分弊社の他のサービスに注力して、より学術コミュニケーション・学術研究の発展に寄与できるよう取り組んでまいります。

最後になりますが、論文検索アプリおよび論文検索Qrossをご利用いただいたユーザの皆さまにはあらためて終了のお詫びと、これまでご利用いただいたことへの感謝を申し上げます。アトラスの次のサービスにもご期待いただけると幸いです。

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