「本から学ぶを効率化」参考図書制度をチーム図書制に進化させた話

CTOの大神です。
アトラスでは、以前から「参考図書制度」という本の購入費用を会社負担で購入できる制度があります。これは、幅広い知識を身につけ業務に還元することを目的としたスキルアップ補助制度の1つです。
この制度を利用して、ここ数年間で数十冊の本を購入しています。(古すぎる本は年末の大掃除で処分してます)

ライブラリスペースの本棚

購入した本で良い内容は、その開発プロセスや技術をプロダクト開発で実践していきますが、1冊購入してメンバで順番にまわし読みしても、実際にプロダクト開発で実践していくまでに時間がかかります。

さらに、メンバによって本を読むスピードに個人差があり、なかなか購入した本を活かしきれてない印象があったので、チーム図書制をやってみることにしました。

チーム図書制とは

プロダクトや開発プロセスに取り入れると良い技術や規格・手法などを積極的かつ速やかに実践していくために、チームリーダーが選定した本を参考図書制度で数冊購入して、チームメンバに同じ本を配布する取り組みです。

エンジニアリングに関する本は「1回読んですぐに実践する」という使い方ではなく、「本を読み、理解して、プロダクト開発中の必要な時期に本の内容を確認しながら適用・実践していく」という使い方をします。同じ本を複数のメンバで同時に読んでいるので、記載内容を共通認識としてプロダクト開発を進めつつも、速やかに、サボることなく読み進めることができます。

チーム図書に選定した本

チーム図書に選定した本の一部を紹介します。

フロントエンド担当者向け

Webサイトパフォーマンス実践入門 高速なWebページを作りたいあなたに

WEBパフォーマンス知識やCSSや画像の最適化まで幅広く解説されている、この本を選定しました。すでに実践しているものもありましたが、書かれていることの多くが参考になりました。現在、Confitで新たに開発している機能では、紹介されているテクニックを実践しています。

システム運用担当者向け

サイバー攻撃 ネット世界の裏側で起きていること (ブルーバックス)

システム運用は主に若手の開発エンジニアがシステム開発と兼任で担当しており、サーバ監視から脆弱性管理、セキュリティ対策と幅広い業務です。ミドルウェアやAWSなどの知識も必要ですが、最も重要な「サイバー攻撃からの防御」のために、この本を選定しました。

攻撃者の手口を知ることで、システム運用でやるべきことを理解できました。

情報セキュリティ担当者向け

図解入門ビジネス最新ISO27001 2013の仕組みがよ~くわかる本 (How‐nual Business Guide Book)

アトラスは情報セキュリティの脅威から情報資産を保護するために、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を運用し、ISMS認証を取得しています。社内に情報セキュリティ委員会を設置して8年ほど運用しています。

情報セキュリティ委員のチーム図書に、この本を選定しました。ISO27001の規格を読むだけでは、記載内容を正しく理解できない部分もあります。アトラスの事業内容や経営戦略に沿った情報セキュリティを実現するために、ISO27001の規格とあわせて、この本を読むことで理解できるようになりました。おすすめです。

チーム図書制のメリット

チーム図書制はチームメンバが同時に同じ本を読むので、以下のメリットがあります。

  • これまではチーム内で共通認識とする規約やルール、エンジニアリング変更のための手引きや手順等は、ドキュメントを書いてナレッジ(アトラスではDocbase)に登録していましたが、本に書いてあれば、それを利用することでドキュメント作成が不要になります。
  • 本を読み進めるペースはメンバごとに異なりますが、他の人が読み進めているのに自分が読んでないとヤバイと思い、読み進めるペースが早くなります。
  • フロントエンドなどの進化が速いライブラリやベストなテクニックなどを実践していくのにあたり連帯責任感が生まれ、実践できていない場合にはフォローしあう良いチームワークが芽生えます。

まとめ

先日参加した「Developers Summit 2018」で「ITエンジニア本大賞」のセッションがありましたが、エンジニアは読むべき本がいっぱいありますね。

エンジニアのやりがいやモチベーションは、新しいスキルを身につけることだったり、新しい技術を取り入れられることだったり。新しいことを学び続けることもエンジニアの楽しいことの1つです。

チーム図書制で、チームの仲間と良い技術を取り入れていくために同じ本を読んで実践していくと、1人で本を読んで実践するよりも楽しく効率的に実践できるようになり、良いことが多いと思います。エンジニアにチーム図書を勧めてチームをどんどん成長させていきます。