PMP(Project Management Professional)合格体験記
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こんにちは、Confitでプロマネ兼ディベロッパーをしてます、荒木です。
取得してからけっこう時間が経ってしまったのですが、PMP(Project Management Professional)というプロジェクトマネジメントに関する国際資格を受験し、無事一発で合格しました。
今回は受験に至るまでの経緯や学習方法をご紹介します。
PMPとは
アメリカにあるPMI(Project Management Institute)という団体が認定する、プロジェクトマネジメントに関する国際資格です。試験内容は、プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめた「PMBOKガイド」に基づき実施されます。
主にIT業界や建設業界などで注目されている資格ですが、あらゆる業種や職種に適用されます。
資格取得後も3年ごとに更新審査があり、教育プログラムの受講・専門的な記事の執筆・講演活動などによって取得した単位(PDU)を提出することが求められます。認定取得後もずっとプロジェクトマネジメントに関わっている必要があるという”実務重視”の資格です。
受験のきっかけ
PMPを取得している先輩に勧められたこと
興味を持ったきっかけは、PMPを取得している先輩に「取ってみたら?」と声をかけられたことでした。それまでPMPもPMBOKもよく知らなかったのですが、先輩の話を聞いていて、「プロジェクトマネジメントという個人の裁量に依りそうなものをどうやって体系立ててまとめているんだろう?」と興味を持ちました。
また、社内にPMPを取得している先輩が二人いるのですが、仕事について相談するといつも豊富な知識に裏打ちされた体系だった答えが返ってくるので、「どうしたらこうなれるのかな」と感じていました。PMP取得を通じてそれが少しでも掴めたらと思いました。
会社に資格取得報奨金制度とスキルアップ補助制度があったこと
アトラスには、資格を取得した社員に対し報奨金または受験料を支給する資格取得報奨金制度と、社外のセミナーなどへの参加費用を会社が一部負担するスキルアップ補助制度があります。
PMPは情報処理技術者試験などと比べると受験料が高く(PMI会員は$405、非会員は$555)、後述しますが受験の準備にも手間と時間と若干のお金がかかります。
しかし、この二つの制度を利用することで取得した際に会社から支払われる報奨金が、資格取得までにかかる費用や万が一不合格になって再受験する場合の費用を考えても十分お釣りがくる金額だったので、安心して資格取得に動き出すことができました。
PMP取得までの道のり
PMPの場合、受験しようと思いたってすぐに受験申し込みができるわけではありません。プロジェクトマネジメントに関する35時間の学習実績と、(大卒の場合)3年間のプロジェクトマネジメント経験があることが受験の条件です。
よって、まずそれを満たし、かつそれを受験申請書の中で証明し、その申請書をPMIが確認し、それが認められて初めて受験申し込みができます。
そのため、PMPの受験を決意してから取得するまでは、大体以下のような流れになると思います。
- 研修等で35時間の学習実績(PDU)を取得する
- プロジェクトマネジャーとしての3年間の実務経験と学習実績を記入した受験申請書をPMIに提出
- 一週間ほどで申請書の確認結果が通知される(監査対象になったら追加資料を国際郵便で提出)
- 受験日を決めて、受験申し込み
- 問題集などでひたすら勉強
- 受験。合格すると、1〜2週間でPMP資格証明書(冒頭の写真)が届く
私の場合、準備を始めてから合格するまでに3〜4ヶ月ほどかかりました。
学習実績の取得
PDUを取得できる研修をネットで検索し、e-learningの研修を受けることに決めました。
短期間で集中して終わらせたいなら2〜3日集合研修を受けるタイプのものもあるようですが、自分のペースで勉強を進めたかったのと、単純に値段が安かったこともあり、この研修を選びました。
いざ始めてみると、講義を視聴するだけでなく、講義毎に記述形式の課題提出があり、さらに模擬試験問題で規定以上の点数を取らないといけなかったりと、けっこう大変でした。土日や平日の昼休み・帰宅後の時間などを利用して2週間ほどで終わらせました。
受験申請書の作成・提出
受験申請はPMIのWebサイトから行います。言語は英語のみなので、全て英文で記入します(どんなことを記入するかは「PMP受験Eligible Letter申請」を見るとわかります)。
実務経験欄以外は、住所などの情報を埋めていくだけなので特に難しくないです。
実務経験の欄は、PMBOKで定義しているプロジェクトマネジメントプロセスごとの経験時間を大雑把に計算して記入しました。記述欄は、プロジェクトの概要とプロジェクトにおける自分の役割、成果物、プロジェクトマネジャーとしての成果を簡単に書きました。さらに、記入内容をPMP保持者の先輩にもレビューしてもらいました。
これからPMP受験を考えている方は、身近にPMP取得者がいれば、同じようにレビューしてもらうと安心して受験申請できるのではないかと思います。
申請書の提出後一週間ほどして、 PMIから「申請は受け付けたので次のステップに行ってください(受験料支払ってください)」という旨のメールが来て、心底ホッとしました。
ひたすら勉強
受験料を支払った後は1〜2ヶ月ほどひたすら勉強です。参考書も書店で色々見たのですが、最終的に
- PMBOK
- e-learningでもらった、講義資料と模擬試験問題
- 虎の巻
だけ使って勉強しました。なお、PMBOKはPMI会員になると無料でダウンロードできます。
e-learningの受講でわかった気になっていたのですが、いざ虎の巻で問題を解き始めると思ったよりつまずきました。
PMBOKは5つのプロジェクトマネジメントプロセス群と10の知識エリアがあり、各プロセスにインプット・アウトプット・(プロセスで使われる)ツールと技法がきちんと定義されています。それらはある程度暗記できていないと、なかなか問題は解けません。
そのため、それらを一旦ノートにまとめて理解したのち、何も見ないで自分で書き出せるようになるまで、ひたすら紙に書いていました。
その後は、e-learningと虎の巻の問題を何度も解いて、並行してPMBOKを最初から最後まで繰り返し読んでいました。
受験
e-learningと虎の巻の模擬試験で7〜8割程度点数が取れるようになったので、その時点で受験申し込みをしました。申し込みはピアソンVUEのサイトから行います。
当日は受付に行列ができることもあるので、40分前くらいに受付に行きました。試験を受ける部屋に入る前に簡単なボディチェックがあったりと、会場についてからも意外と色々時間を取られました。
試験はオンラインテストとして行われ、4時間で200問の4者択一問題に解答します。結果は、試験終了時にその場ですぐわかります。200問のうち、採点対象にならないダミー問題が25問あり、それを除いた175問中106問(約6割)正解すると合格です。なお、ダミー問題は「将来のPMP試験の評価のために使われる」のだそうです。
私は1〜2時間かけて一度200問全ての回答を入力し、その後もう一度全問見直し、回答に自信が持てないものだけ何回か見直しして回答を提出しました。
その場ですぐ採点が始まり、合格した旨の表示が出た時は安心してしばらく席でボーッとしていました。
会場を出ると試験結果が渡されるので、それをもらって試験終了です。
点数は出ませんが、試験結果はNeeds Improvement(不可)、Below Target(不可)、Target(良)、Above Target(優)の4段階で示されます。私の結果はAbove Targetでした。
最後に
PMPの勉強は大変な面もありますが、問題文を読んだり回答を考えるのがなかなか面白く、個人的には過去に受けた資格試験の中で、一番「勉強していて楽しい」試験でした。「こういう状況に置かれたらあなたはどんな決断をするか?」を問われる問題が多く、その状況が「ありそうだな〜」と感じさせられるのです。
チームメンバー間で軋轢が生じた場合、プロジェクトの進捗が芳しくない場合、メンバーのスキルが当初想定していたより思わしくない場合・・・「世界のプロジェクトマネジャーたちも、みんな似たようなことで悩んでるんだなあ」と思うと問題を解きながら親近感が湧きました。
何らかのプロジェクトに関わっている限り、”プロマネ”という肩書きがあるかないかに関わらず、プロジェクトマネジメントの知識は持っていて損はありません。興味があれば、PMBOKだけでも覗いてみてはいかがでしょう。