フロントエンド(・デザイン)ワーキングの1年間とこれから
目次
はじめに
こんにちは。フロントエンドエンジニア兼デザイナーのKimuraです。
2021年3月より、アトラスではフロントエンドワーキング(以降、ワーキング)の活動を開始しました。1年が経過した現在はデザイン領域を統合し、フロントエンド・デザインワーキングという形式で開催しています。
この活動は、年間を通して様々な変化をしつつ継続してきました。社内活動の一例として、経緯を含めて活動内容をご紹介いたします。
フロントエンドワーキングの1年間
活動開始のきっかけ
ワーキング活動を開始しようと思ったきっかけは、フロントエンドエンジニアとして日々の業務を行う中で、横断的な仕組みの整備が必要だと感じたことでした。例として、コードベースの単体試験環境の整備や、横断的なLint設定の見直しが挙げられます。通常業務の傍らでこれらを整備するためには、定期的な活動時間を用意したほうが計画的に進められると考えました。
具体的な活動を始めるために、まずは週1時間の業務横断作業時間を設けたいと直属の上長に提案しました。その後メンバーの募集を行い、フロントエンドに関心のある人が集まって活動する場として、ワーキングが発足しました。
課題の洗い出しと枠組みの整備
ワーキングのメンバーには、業務でフロントエンドを実装している人も、これから経験を積んでいきたい人もいました。開始当初は参加メンバー全員で、現状どのような課題があり、それをどのような成果物として落とし込めるのかを話し合いました。
すると、前述した仕組みの整備に加え、新規参画者向けの説明資料も整備したいという意見が出ました。まだ経験の浅い人が資料整理を担当することで、本人の学習にもつながることが期待できるため、資料整備も対象に加えました。
また、適切な仕組みや資料を作成するには、レビュー工程も重要です。完成した成果物に対して、定期的に相互レビューを行うという方針も決定しました。
ワーキングの開始
こうして基本的な枠組みが作られ、ワーキングの実質的な活動が始まりました。メンバーはそれぞれ、優先度の高い課題や、自身の興味のあるテーマを選んで、仕組みや記事の作成を行いました。
例えば、以前に書いたGitHub Actionsにおけるフロントエンドテスト入門は、ワーキング内で単体試験環境の整備にあたって検証した内容の一部をまとめた記事です。
技術検証領域の追加
活動が開始して半年ほど経過した頃、新たな技術やサービスの検証もワーキングで取り扱うことになりました。輪読会形式で別の時間を設けてはどうかという意見もありましたが、個人が検証した内容を共有する機会を作ることで、共通理解を得ようという方針に落ち着きました。
これにより、課題にとらわれずに個人の活動テーマを決定することが可能になりました。具体的な例として、PWA導入の実態調査などをワーキング内で実施しています。
システム開発グループ全体への共有
アトラス内では、エンジニアとデザイナーはシステム開発グループに所属しています。グループの全体会議では、技術的なトピックを共有することが度々ありました。
そこで、技術検証領域の追加に伴い、ワーキングでも成果物をグループ全体へ発表する取り組みを始めました。これはメンバー間だけではなく、ワーキングに参加していない人にも活動成果を知ってもらう機会となりました。また、発表者にとっては、前提知識が統一されていない聴講者に対して分かりやすく伝えるための練習となる側面もありました。
実際に発表があったテーマの例として、「Core Web Vitals入門」や「Google Chromeデベロッパーツールの基礎」、「脆弱性対応の作業記録」が挙げられます。
開催を重ねるうちに聴講者からのフィードバックも受け取りたいという課題が生まれたため、今年度からは発表時にアンケートを実施する予定です。
デザインチームとの統合
ここまで約1年の活動期間を経てきたワーキングは、2022年度からはデザインチームをメンバーに加えて実施しています。これまでデザインチームは別途情報共有会を実施していたのですが、会議体制の見直しに伴い、ワーキングに加わる方針となりました。
この背景には、組織内におけるフロントエンドエンジニアとデザイナーの知識共有や交流が活性化する期待もあります。アトラスでは両者のタスクが完全に分離されておらず、デザイナーがJavaScriptを書いたり、フロントエンドエンジニアが部分的な画面デザインを行うこともあります。職種を横断して気軽に話しかけられる場が設けられたことが、業務上の成果にもつながっていけば、より良いと考えています。
おわりに
以上でご紹介したように、フロントエンドワーキングはフロントエンド・デザインワーキングへと発展して活動しています。
良かった点として、プロダクトだけではなく、参加メンバーの成長にも寄与できたことが挙げられます。当初のワーキングは、プロダクトの保守性や開発者体験を高める仕組みの整備から始まりました。しかし活動を継続していく中で、記事執筆、レビュー、発表などの活動が、参加メンバー自身のスキルの成長にもつながったという声を聞くことができました。何より、私自身が調整を含めて多くのことを学ぶ機会となりました。
反対に苦労した点は、様々な変化があった中で、都度どのような活動体制にするのか検討が必要となったことです。特に大きかったのは、デザイナーチームと統合した際の活動見直しです。詳細は割愛しましたが、デザイン分野のトピックが追加となることにより成果物の幅が大きく広がったため、成果物の種類や内部レビューの方法について、細かく再定義を行いました。
今後とも様々な意見を検討し変化を続けながらも、最終的には成果物をプロダクトへ還元できる活動として継続していく予定です。社内の横断的活動の一例として、参考となればと思います。