新米チーフが初めて1on1をやってみて

こんにちは、Confit PdM/PjMのあらきです。

前回ブログを書いてから早一年たち、今年の4月からチーフの肩書きが加わりました。アトラスの「チーフ」は、簡単にいうとマネージャー補佐です。肩書きが加わったからといって仕事内容が急に変わる、というものでもないんですが、採用活動や人事評価等、以前より「人」に向き合う機会が増えたと思います。

チーフという肩書きが加わる少し前から、これまでマネージャーのみで実施していたメンバーとの1on1(社内では「定期面談」と呼んだり「月次面談」と呼んだりもします)に面談「する」側として参加するようになりました。

今回は、アトラスシステム開発グループにおける1on1の取り組みと、私が1on1をするにあたって意識したこと、感じたことなどについて話していきます。

1on1とは

1on1とは、マネージャーとメンバーの間で行う1対1の対話のことです。職場によりますが、月次、週次など定期的なタイミングで30分程度で行われることが多いです。

1on1は業績評価面談のような対話とは違って、あくまでメンバーの話に耳を傾ける時間です。対話を通じて

  • メンバーとの信頼関係を構築する
  • 仕事へのフィードバックを通じてメンバーの成長を促す
  • メンバーのモチベーションを高める

などを目的としています。

さらに詳しく知りたい方は、「1 on 1ミーティング 「対話の質」が組織の強さを決める」こちらの書籍がわかりやすいです。私は1on1を「する」側になる直前に読みましたが、1on1「される」側が読むのも、「1on1の時間ってこう活用すればいいのか」ということがわかるので、オススメです。

システム開発グループの1on1の取り組み

システム開発グループでは、毎月月末に、マネージャーやチーフとの1on1の機会があります。主に話すのは

  • 困ってること、気になってること
  • 成長したなと感じたこと
  • 課題に感じていること

ですが、それほどカチッとしたものではなく、フランクな雰囲気で雑談をしていることも多いです。

よく「珍しい」と言われるのですが、パートナー社員の方とも毎月1on1をします。アトラスは社員とパートナーさんの垣根を作らない、という文化が元々あるのですが、パートナー社員の方との面談は「他の会社と比べてアトラスってどうなの?」という視点を取り入れられる貴重な機会だと捉えています。

社員は毎月担当マネージャー固定で面談することが多いですが、パートナー社員の方はマネージャーよりも技術面でのリーダーと接する機会が多いこともあり、マネージャーだけでなくテックリードやフロントエンドリード、PjMが交代で面談し、多様な観点で話をするようにしています。

面談内容は必要に応じてリーダー層が集まる場で共有します。例えば若手社員から「もっとインフラの経験を積みたい」という話が出たら、PjMやテックリードに共有すれば、「直近のプロジェクトでサーバーリプレースがあるから任せてみようか」「ちょうどインフラ周りの技術課題のタスクがあった」といったような情報を引き出すことができます。

1on1を始めて意識したこと

ここからは、私が1on1するにあたって意識したこと、感じたこと、の話です。

面談「する」側も話題を準備する

1on1を始めた当初、「特に困ってることないんですよね…」から始まり、なかなか話が膨らまないことがありました。そこで、あらかじめいくつか話題を準備するようにしました。

例えば、「出社した日に他のエンジニアとどんな話をした?」「機能仕様の説明はわかりずらいところがなかった?」といったような話題です。「何か話したいことや困ってることはあるか?」と聞いて何も出てこなくても、普段の仕事の話をとっかかりにすると、「そういえば出社した時、フロア内が静かすぎて雑談しづらかった」といった話が出てくることがあります。「1on1はメンバーの話を聞く時間」とはいえ、相手の出方を待つだけでなくこちらから話のとっかかりを出していくことも必要です。

また、こちらから話題を出すのは、単に話題提供の意味合いだけでなく、「こういう話題を出してもいい」と相手に示す意味合いもあります。

以前「機能仕様に関する質問って1on1の時間にしてもいいですか?」と聞かれたことがありました。「こういう話をしてはいけない」と一度も言ったことはないのに、メンバーにとっては「1on1の時間にこういう話ってしていいものなのか?この話で時間を奪っていいのか?」と手探りでいるんだな、とその一言から感じました。「今実装してる機能のこの辺の仕様は複雑だと思うけど、理解できました?」など話題をこちらから提供すると、「そういう話もこの時間にしていいのか」という意識づけになって良いと思います。

相手の話を否定しない

「こういう話ってしていいのか?」のハードルを下げていくこと(信頼関係を構築すること)が1on1の目的の一つですが、その上で重要なのが、「否定から入らない」ことだと思います。メンバーのいうこと全てに賛同せよ、ということではなくて、そのつもりがなくても「頭ごなしに否定された」と相手が感じてしまうと「この話をするとマネージャーの不興を買う、自分が損をする」という印象がついて、話すハードルが上がってしまう、ということです。

例えば、「仕様を決める上でデータ解析のスキルが必要なんですけど、どうも数値を扱うのって苦手で…」とメンバーが言ってきて、「それはダメだろ。苦手とか言ってないでやれ」と答えたとして、マネージャーは別に間違ったことを言ってるわけではないんですが、メンバーはそれ以上話ができる雰囲気ではなくなってしまいます。それよりも、「なぜ今そこに課題感を感じているのか」「数値を扱うのが苦手という思い込みはどこからきているのか」について深堀するとか、単純に相手の話を聞くとか、そういった行動をとったほうが、メンバーが次回からも話をしやすくなります。

「具体的な行動」に対してフィードバックする

特に「改善してほしいこと」を伝える場合に重要な考え方だと思うのですが、具体的にどういう行動に対して良い・悪いと感じたのか、を伝えることは仕事のフィードバックをする上で重要です。

例えば、「Aさんは会議に対してやる気が感じられない、もっと積極的に会議に参加してほしい」とマネージャーが感じたとして、Aさん本人の「意識」としてはやる気満々で臨んでるつもりなのかもしれないんですよね。なので、「やる気を出せ!」と言われても「これ以上どうしたら?」という反応になってしまう。あくまで社会人の評価というのは成果・行動によるものなので、「時々会議に遅刻してくる」「会議の間一度も発言しない」など行動ベースで伝えることが重要です。また、行動ベースで伝えることによって「会議に出たら必ず発言することを心がけよう」と次の行動に繋げることができますし、同時に、あくまで「行動が引き起こす印象」に対して注意を促しているのであって、人格を否定しているわけではない、ということを伝えることができます。

1on1をやってみて

ここまで色々と書いてきましたが、私個人の1on1をやってみた率直な感想としては「面白い」です。(メンバーのみなさんが優秀で人柄が良いから楽しんでいられる、という側面はありますが。)

同じ質問をしても、人によって感じることや気になるポイントがちょっとずつ違っていて「こういう捉え方もあるか」という新しい発見があり、「当然こう思うだろう」という自分の固定観念を壊してくれる気持ち良さがあります。特に1on1の場だと、集団で話している時と違って周りの意見の影響を受けないので、より個人個人の特性を反映した意見が聞けて面白いです。

コロナ禍然り、今の世の中は予測できない・経験したことがないような変化が起こる、という前提に立ってビジネスを推進していかねばならず、その前提に立った時、「マネージャーがメンバーに正解を教える」ではなく、「メンバーと一緒に解を探る」という考え方を持ち、自分の固定観念を壊す姿勢が重要なのだと1on1を通じて改めて感じました。

余談ですが、アトラスシステム開発グループの行動指針「ディベロッパー魂」にも、固定観念や先入観に捉われないようにという意味合いで「青春とは心のあり方である」が最近加わりましたが、まさに今の世の中に即した行動指針だと思います。

さいごに

このブログを読んでいる方がメンバーの立場かマネージャーの立場か、これから社会人になる方なのか、は分かりませんが、なかなか奥が深くて面白い1on1、実施する機会があればぜひ楽しんでやってみてください。