田舎暮らしのテレワーカーがプロマネとして意識している3つのこと

こんにちは、Confit PM*のあらきです。2022年もあと2ヶ月となりましたが、今年はCOVID-19による行動制限が少しずつ解けていった一年でしたね。学術大会も現地開催へ回帰する動きが増える一方で、ハイブリッド開催のメリットも明らかになり、ハイブリッド開催を続行する学会もあったりと、単純に「コロナ前に戻った」というのとも違う変化を感じます。
*ここでいう「PM」はプロダクトマネージャー(PdM)とプロジェクトマネージャー(PjM)両方を指します。アトラスではPdMとPjMを兼任することが多いため。

さて、以前「田舎暮らしのテレワーカーが意識している4つのこと」というブログで四国からのフルリモート体験記を書いたのですが、あれから二年たち、アトラスの制度も変わり、筆者の仕事もPM業務が主体となっていく中で、「リモートワークにシフトしたことで、PMとして働きやすくなった面も結構あるな」と感じているので、普段どんなことを意識していて、どうして働きやすいと感じるのか?についてお伝えしていこうと思います。

二年前と現在の変化

まず、二年前と現在とで、アトラスの働き方や制度には以下のような変化がありました。

出社制限の撤廃

以前は「出社日は月の半分程度に抑えましょう」という制限がありましたが、その制限が撤廃されました。

定期出社の実施

チームコミュニケーションの活性化を目的として、遠隔地勤務の社員も含めチーム単位で2ヶ月に一度程度、出社日を設ける方針となりました。

遠隔地勤務制度の導入

定期出社の方針が定まったことを受け、遠隔地勤務制度が定められ、出社時の宿泊費や交通費は会社負担とする旨が明示されました。介護や配偶者の転勤などで遠隔地に長期間居住しなければいけない場合だけでなく、個人のライフスタイルの選択として長期間、遠隔地に移住することを希望する場合にも遠隔地勤務制度を利用することができます(ただし、自律的に業務を遂行できること、など適用要件はあります)。

ツールの変化

情報共有ツールはNotionバーチャルオフィスツールはoViceを使うようになりました。コミュニケーションの中心はSlackですが、口頭でちょっと話したい場合はoViceを使っています。

フルリモートワークでPMをするうえで、意識していること

筆者は変わらず遠隔地でフルリモートワークをしていますが、最近のシステム開発グループは来年2023年に向け、Confitのリニューアルに注力しています。それに伴い、プロダクト設計や進捗管理などPM業務が増え、仕事をする上で意識することも少し変わってきました。

1. 専門家を押さえる

○○マネージャーという肩書き全般に言えることですが、PMの役割は一言で言うと「決めること」です。もう少し丁寧に言うと、プロダクトマネジメントの観点では「顧客・事業・開発のバランスをとりながら製品を成功に導くため」、プロジェクトマネジメントの観点では「製品を適切なタイミングで世の中に届けるため」、必要な決断をして、決断したことに責任を取るのがPMの役割です。これは単にAかBのどちらかに決めればOKというものではなくて、「そう決断するのが自然(合理的)だよね」とPM自身を含めたステークホルダーが納得できる結論を導き出すことが重要です。

そして合理的な結論に持っていくには、専門家の意見が必要です。作るのにかかる手間を知りたいならエンジニアに、製品を使うユーザー層にとっての使い勝手を知りたいなら導入コンサルやマーケメンバーに、と色んな専門家から情報収集してバランスの良い結論を探ります(最終的には、PMと「専門家」が一同に介して合意形成を行います)。

そのためには「この件に関しては誰が専門家なのか?」を把握することが重要となりますが、全社的なテレワークが始まって、効率的に専門家を把握できるようになったな、と感じます。

少なくともアトラスの場合は、ですが、全社的なテレワーク導入によってSlackなどオープンな場でのテキストコミュニケーションが増えました。そうすると、他の部門のやりとりなど、自分が直接会話に加わっていない内容もオープンになって残っていきます。それを読んでいると「Excelのデータチェックのマクロについてはみんなこの人に聞いてるな」とか「最近リリースしたあの機能については、みんなこの人にレクチャーを受けてるな」というのが、その場にいなくても見えるようになりました。もし出社ベースの働き方だったら、一日中周りに聞き耳を立てていないと不可能だと思いますが、Slackにやりとりが残っているので「巻き戻して視聴できる」ようになった感覚です。

ただしこれは、テキストコミュニケーションのツールをSlackに集約していることと、「オープンな場で議論しよう」「情報はオープンな場で共有しよう」という考えがアトラスのメンバーに浸透していることが前提にあって成り立っているものだと思います。

2. 感謝と賞賛は「すぐに」伝える

PM業務が主体になってからは、幅広い専門家の意見を聞くため社内でもコミュニケーションを取る範囲がグッと広がりました。そこで気をつけているのが、「感謝や賞賛は早めに伝える」ということです。

「出社してた頃は、ふと顔を合わせたときに感謝の気持ちを伝えられたけど、テレワークだとそういう機会が減るよね」という声をよく聞きますが、私は、テレワークをしている今の方が気軽に伝えられるし、伝える機会も増えたな、と思っています。

フェーストゥフェースだと、一回会話が終わった後にわざわざ感謝を伝えるためだけに相手に声をかけるのってハードルが高いんですよね。話しかけようとしたタイミングで相手が忙しそうだったりすると、言えないまま、ということもあります(大人なんだからそんなハードル乗り越えなさいと言われればそれまでですが)。その点テキストコミュニケーションなら、例えばSlackのスレッドにメンションせずに「さっきはありがとうございました」と一言書いておけば、相手の作業の邪魔にならずに感謝を伝えられるので、伝えるハードルが下がります。

顔を合わせて伝えた方がいいことももちろんありますが、そもそも感謝も賞賛も仕事に対するフィードバックの一つなので、早めに伝えることを優先しています(ポジティブなフィードバックはテキストベースでも嬉しいものですしね)。

3. 他社のPMの様子をキャッチする

PMは役割が広いので、職場によって業務範囲が違う、というのはよく聞く話です。プロダクトを期限までに成功に導くために、実装メンバーが足りなければ自分で実装することもありますし、導入手順書を作れる人がいなければ自分で書きますし、「PMの役割は決断すること」と書きましたが、実際はかなり業務範囲が広く、泥臭い仕事も多いです。

そうなると、私のように同じ会社でずっと働いているPMは「私って世間一般のPMとズレてないだろうか?」「PM本来の役割を見失ってないか?」ということが気になってきます。もちろんPMBOK(詳しくはアトラスの過去のブログを参照してください)などに定義は書かれていますが、世間一般から見てどうなんだろう?というのが気になってきます。

こういった情報については、アトラスの過去のブログでも紹介していますが、コロナ禍でオンライン開催のカンファレンスやウェビナーが非常に増えていて、地方在住者も情報収集がやりやすくなりました。最近だとpmconf2022開発PM勉強会を視聴しています。カンファレンス終了後にオンデマンド配信していることも多いので、本当に便利な世の中になったなと感じます。

他社のPMの話を聞いていると、「他社の人も同じことで悩んでるんだな」と思うこともあれば、「アトラスと違うな」と思うこともあるのですが、「世間一般と違うかもしれない」と漠然と思っているよりも、「ここが違うんだな」と理解したうえで仕事に臨む方が、不安感がずっと小さくなります。オンラインでの情報発信が世の中に増えたことはPMを続けていく上で、大きな助けになっています。

さいごに

過去のブログを読むと「数年前のブログでこう書いてるけど、もう結構変わっちゃったよな」と思うことがよくあるので、アトラスにおけるリモートワーク状況を改めてお伝えする目的でこのブログを書きました。合わせて、アトラスの職場の様子や、アトラスのPMが普段考えていることを少しだけですが伝えられたのでは、と思います。

リモートワークは「関係性が希薄になる」などコミュニケーション面では「悪くなる」前提で語られがちですが、みんなが出社していた時代より良くなる側面もあるのでは、と私は思います。とはいえ、「隣の席の人に気軽に相談できる環境が恋しい」「実際に会って話をする機会をもっと持ちたい」という声もあり、この先もまたアトラスは変わっていくと思います。ブログや最近始めたnoteなどで情報発信していきますので、そちらもぜひご覧ください。